「最近ペレットを部分的に残すようになった。」
「牧草はいつも茎を食べていたのに、穂の部分を食べるようになった。」
もしかしてうさぎって食の好みが変わるの?と思っている飼い主さんもいるかと思います。
今回は、うさぎの味覚について、動物病院の先生HPや飼育書籍などを参考にしながら解説していきます。
ただし、その前にひとつ大切な確認です。
うさぎが「昨日今日急に」食べなくなりましたか?
急に食欲がなくなったり、いつも飛びついてくるほど大好きなおやつやペレット、食べていないですか?
それは消化管が弱っている可能性が。「うっ滞」や「毛球症」という命に関わる病気の症状かもしれないので、すぐに病院へ。
日本エキゾチック動物医療センター「ウサギの消化管うっ滞(毛球症)」にうっ滞の症状が載っているので参考に!
うさぎって食の好みが変わるの?
うさぎは人間のように、子供と大人で食べ物の好みが変化したり、環境の変化でも好みが変わったりする場合があります。もちろん、あまり気にしない子も。
うさぎの味覚は人間以上に発達しているので、同じ製品のチモシーでも、ロット(生産時期)や生産地が変わっただけで、「いつものと違う」と食べなくなったり、
有機野菜をあげると、その美味しさを覚え、いつもの野菜を食べなくなる子など様々。
実は、人間よりもうさぎの方がグルメなんです。
なんだかソムリエみたい!でもなんで?
え、なんで人間よりグルメかって?
それは嗅覚が優れている※こともさることながら、「味蕾」の数が人より多いことも理由の一つです。
では「味蕾」ってなんでしょうか?
※うさぎの嗅覚について:
うさぎの嗅覚は人間の10倍以上あります。【うさぎは匂いに敏感】飼い主が気をつけるべき匂いとは?の記事で詳しく解説しています。
うさぎの味覚・味蕾について
味蕾(みらい)とは、舌にある器官のことで、甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができます。これらの味が複雑に混じり合い、私たちは“おいしさ”を楽しむことができるのです。
この味蕾、実は人間よりもうさぎの方が数が多いんです。
うさぎは私たちよりも、微妙な味の変化に敏感なんですね。
動物の種類 | 味蕾の数 |
---|---|
人間 | 約10,000個 |
うさぎ | 約17,000個 |
牛 | 約25,000個 |
ヤギ | 約15,000個 |
犬 | 約2,000個 |
猫 | 約500個 |
肉食動物より草食動物の方が味蕾が多いですね。
うさぎがペレットや牧草を食べ残す?
うさぎがペレットや牧草などを食べ残したりする場合、単純に好みの変化というより、味覚が優れている故の味や香りの変化だったり、歯に問題があって食べ残したりすることも。
うさぎの好みが変わった?と感じたら、下記の場合に当てはまっていないかチェックしてみましょう。
歯に問題がある場合
いつもチモシーは硬い茎を食べていたのに、急に柔らかいのしか食べなくなった。
なんだかお口をモゴモゴさせている。
そんな時は歯に問題があることも。
放っておくと不正咬合などお口の病気になってしまうこともあるので、一度病院でみてもらうのがいいでしょう。
うさぎの不正咬合とは
うさぎの歯の噛み合わせが悪くなり、歯が伸びすぎてしまう病気を「不正咬合」と呼びます。
食欲不振やよだれ、給水ボトルからうまく水が飲めないなどの症状がでます。動物病院で歯を削る治療が必要です。
チモシーの食べが悪くなった場合
同じ製品のチモシーでも、ロット(生産時期)や生産地が変わると微妙に味や香りに変化が生まれます。
人間はわからなくても、うさぎは見抜くことができます。
中には「いつもと違う」と食べなくなる子も。
そんな場合は、今食べている牧草を何割か残しておき、新しい牧草と混ぜて与えてみて。
また、開封後の新鮮さや香りが薄くなった牧草も、食べが悪くなることも。
牧草はなるべく新鮮なもの、開封後は香りが飛ばないように密閉できる容器などに保存してくださいね。
高齢うさぎの好みの変化について
歯の問題はないのに牧草を食べなくなった、ペレットを食べ残すようになったら好みが変わってきたのかもしれません。
人間と同じでうさぎも歳をとると味の好みが変わりますが、高齢うさぎさんの場合は、健康をキープするためにも食べることは大事。
牧草やペレットを食べ残す場合は、下記の対策を考えてみて。
高齢うさぎがペレットを食べ残す場合
ペレットを食べ残すようなら、シニア向けのものに変えてみるのが◎。
シニア用ペレットはカルシウムが少なめで繊維質が多いものがほとんど。
またグルコサミンやコエンザイムなど、健康をサポートしてくれる栄養分が入ったものも。うさぎの好みに合うものを見つけてみて。
牧草を食べなくなった時の対処法
歳をとると牧草の好みが変わったり、食べなくなったりする子もいますが、牧草はうさぎの主食で健康を守る大切なもの。
食べないからとあきらめず、好みのものを探してみて。
香りのいい生牧草で美味しさを再確認してもらうのもいいかも。
痩せてきた子には、栄養価の高いアルファルファを混ぜてあげたり、香りの高いオーツヘイを与えてみるのも◎
牧草についてはうさぎがチモシーを食べない時の原因と対処法|食べやすい牧草12選で紹介しています。
また、ペレット状になっている固形チモシーもおすすめ。グルテンフリーやチモシー100%のものを選ぶといいでしょう。
>> (参考)【チモシーアレルギー対策に】代用できる固形チモシー5選
>> (参考)うさぎの生牧草が1週間で育つ?大麦若葉栽培セットをレビュー
いろんな牧草やペレットの味を覚えさせておくと◎
災害時や物流が滞ってしまうと、いつも食べている牧草やチモシーが手に入らないことも。
ストックをしておくのはもちろんですが、万が一に備え、いろんな種類の味を若いうちから覚えさせることも大切。
例えばチモシーの場合、違うメーカーや違う産地(国)のものを、いつものチモシーと混ぜて与えたり。
ペレットであれば食べてもらいやすいので、いろんなメーカー(特に大手メーカーが販売したくさん流通しているもの)のものを少しづつ混ぜて与えてもいいかもしれません。
また、うさぎが高齢になると食欲がなくなったり、牧草をあまり食べなくなる子もいます。
でも牧草はうさぎの健康に欠かせないもの。
若いうちから、いろんな牧草を試して味を覚えてもらい、好みを把握するのが◎
ただし、マメ科の牧草(アルファルファなど)はカルシウムや栄養価が高いので与えすぎは肥満につながるので注意。
元気で若いうさぎさんの主食はあくまでチモシーメインで!
新しいペレットや牧草を試すときは「少しづつ」
うさぎさんは味や香りに敏感です。もし、新しいペレットにしようと考えている方は、いきなり変えるのではなく、現在食べているペレットに少しづつ混ぜて味を慣らしてあげるのが◎。
牧草も、色々食べさせたいからといきなり全部取り替えるのではなく、今のものに混ぜる形で与えてあげるといいです。
グルメなうさぎさん、納得のいくまで付き合って
小さい頃、食べ物を残すと、親から「ぜいたくだ」と怒られたことはないですか?
でもうさぎさんの好みは「ぜいたく」なのではなく、「個性」と考えてあげてほしいです。
チモシーでも、穂の部分しか食べない子、茎の硬い部分が好きな子それぞれです。
いろんな牧草やペレットを少しづつ与えてみて、お家のうさぎさんの好みを把握してあげると、災害時や高齢になったときにも役立ちますよ。
参考
◆さかい動物病院HP ウサギ>「味蕾」
◆書籍:誠文堂新光社「うちのうさぎの老いじたく」
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